夏目漱石『こころ』、太宰治『走れメロス』、谷崎潤一郎『細雪』、宮沢賢治『注文の多い料理店』。
学生時代に教科書で読んだっきり...、持ってはいるけど一度も開いたことがない!結局どれから読むのがいいの?...etc.そんな方の「読みたい!」気持ちを後押しするシリーズ講座が始まります。
講座名は【やっぱり読みたい日本の近代文学】。
5月19日より始まるのは谷崎潤一郎を知る連続講座、講師は日高佳紀さん(奈良教育大学 教授)です。
長命であった谷崎は、明治・大正・昭和の激変期をどう過ごしたのか。そして、それらの社会の変容は約半世紀にわたる谷崎の作家人生にどう影響したのか。
初めて読む方も、もう一歩踏み込んで読んでみたい方も、是非この機会にお申し込みください。
《開催概要》
【講 義】
「やっぱり読みたい日本の近代文学~谷崎潤一郎の文学を読む~<全3回>」
【講 師】
日高佳紀さん(奈良教育大学 教授)
【日 時】*見逃し配信あり
・第1回 5月19日(木) 19:00-20:30
・第2回 6月2日(木) 19:00-20:30
・第3回 6月16日(木) 19:00-20:30
【参加費】
(1)全3回...5,000円(セット割)
(2)各 回...2,000円
【申 込】
【講座について】
◎第1回 谷崎潤一郎はなぜ「文豪」と呼ばれたか
谷崎潤一郎は日本の近代文学の「文豪」といわれる作家です。明治末にデビューして昭和40年(1965)に79歳で亡くなるまで、社会における価値体系がさまざまに変化するなかで、長く第一線で活躍し続けたことに由来しています。谷崎の作家活動は、自らの立ち位置を幾度も変化させ、時代を先取りするような作品を生み出し続けたことにその特徴があります。まずは近代における社会・文化の変容とともに谷崎の人生を大きくとらえながら、その多様な活動と多彩な作品を紹介していきます。
◎第2回 谷崎潤一郎と都市モダン文化
おもに大正期の谷崎にスポットを当て、当時の社会変化および都市モダン文化の様相と照らし合わせながら、その作品の特徴を説明します。具体的には、浅草を中心とした都市を舞台とした初期小説のいくつかを紹介した上で、都市モダン小説の集大成と目される『痴人の愛』(1925)を読むことで、この時期の谷崎文学の表現と内容の特質に迫ります。
◎第3回 谷崎潤一郎と古典文学
関東大震災(1923)を契機に東京から関西に移住した谷崎は、数年後の昭和初期以降、それまでのモダンな作風から、日本の古典美を投影させた内容と文体に転じます。これらの作品群は、谷崎の「豊饒の時代」とされるほど評価の高いものですが、そのいくつかを紹介した上で、具体的には『蘆刈』(1932)を取り上げ、近代小説に古典世界が活かされていく様相を読み解きます。
【講師プロフィール】
日高佳紀(ひだか・よしき)
1968年島根県生まれ。奈良教育大学教授。博士(文学)。
主な著書に『谷崎潤一郎のディスクール 近代読者への接近』(双文社出版、のち鼎書房より再刊)、『谷崎潤一郎読本』(共編、翰林書房)、『建築の近代文学誌 外地と内地の西洋表象』(共編、勉誠出版)、『小説のフィクショナリティ 理論で読み直す日本の文学』(共編、ひつじ書房より近刊)など。