「どっどどどどうど どどうど どどう」一度聞いたら忘れられない印象的なフレーズから始まる『風の又三郎』。
作者の宮沢賢治は独自の感性と豊かな想像力で膨大な数の作品を遺しています。
国語の教科書にも採用され多くの日本人が知る賢治の作品ですが、賢治の感受性の強さから紡がれる物語は読者をしばしば「わからない」と困惑させます。
7月からの連続講座ではこの「わからなさ」の正体を探りながら、賢治が今もなお愛され続ける理由について考えていきます。
講師は日本大学芸術学部教授のソコロワ山下聖美さんです。
五感を働かせながら、賢治の紡ぐ不思議な世界を冒険してみませんか。
全3回でお申し込みいただきますと、山下さんの著書『わたしの宮沢賢治 豊穣の人』をプレゼントとしてお届けします。
この機会に是非お申し込みください。
《開催概要》
【講 義】
「やっぱり読みたい日本の近代文学~感性のひと、宮沢賢治~<全3回>」
【講 師】
ソコロワ山下聖美さん(日本大学芸術学部教授)
【日 時】*見逃し配信あり
第1回 7月29日(金) 19:00~20:30
第2回 8月5日(金) 19:00~20:30
第3回 8月12日(金) 19:00~20:30
【参加費】
(1)全3回...5,000円(セット割・プレゼント書籍『わたしの宮沢賢治 豊穣の人』付)
(2)各 回...2,000円
【申 込】
【講座について】
第1回...感性で読み解く宮沢賢治文学
子どもから大人まで、宮沢賢治の名はほぼすべての日本人に知られていると言っても過言ではありません。一方で、なんだかよくわからない、というイメージをもつ方も多いと思います。ここでは、宮沢賢治作品の「わからなさ」の根源にあるものを探りながら、読者が自由に想像力を駆使して読むことの大切さをお話します。具体的には、作品にちりばめられるオノマトペや、感性を駆使した表現を取り上げながら、賢治作品をクリエイティブに読んでいくことの魅力と方法をお伝えします。
第2回...「風の又三郎」と「雪渡り」の世界
まずは、「どっどどどどうど どどうど どどう」という印象的な音ではじまる「風の又三郎」を取り上げます。のどかな自然に囲まれた小さな小学校に突然やって来た不思議な転校生と子供たちの間に繰り広げられる束の間の学校生活。この背景にある哀しく切ない命の物語をご紹介します。続いて、「キックキック トントン」のリズムが耳に残る「雪渡り」を取り上げます。四郎とかん子の兄妹は「どこ迄でも行ける」日に、一体、どこに行くのでしょうか? 作品が内包する〈死の予感〉に耳をすましながら、物語を読み解いていきましょう。
第3回...「やまなし」と「銀河鉄道の夜」の世界
まずは、小学校の教科書にも取り上げられる「やまなし」を取り上げます。大人になった今、改めて想像力を駆使して読み解くことにより、作品の背景に広がる〈母性〉を見出していきます。続いて、賢治文学の集大成ともいえる「銀河鉄道の夜」を取り上げます。未完の大作である「銀河鉄道の夜」は、様々な謎をはらみ、読者を魅了し続けてきました。本当の幸いとは何か? 死んだらどこに行ってしまうのか? なぜ愛する人を失わなければならないのか? テキストが投げかける問いかけを自分なりに受け止め、考えていきましょう。
<講師プロフィール>
ソコロワ山下聖美(ソコロワやましたきよみ)
文芸研究家。
1972年生。日本女子大学文学部英文学科卒業、日本大学大学院芸術学研究課博士後期課程修了。博士(芸術学)。
現在、日本大学芸術学部文芸学科教授。
専攻は日本近現代文学、国際文化交流。